2014.09.04
誠流武会の昇級・昇段審査は年に一回である。
以前から私は「黒帯になるのが目的なら他の道場に行った方がいい」と言い続けている。
すべての道場生はもともと強くなりたいとういう目的で入門するのだが、途中から単に黒帯を習得することが目的となる場合がある。
ここで問題となるのが、現実問題として空手の世界はその流派や道場によって帯の実力がまちまちであるとういうことだ。
ただ単純に年数を重ねれば黒帯となることが可能な流派が実に多い。この場合の年数とは修行の年数ではなく、所属しているというだけの年数である。そして黒帯を取ったらその武道そのものをやめていく場合も多い。
私自身は、誠流武会における色帯とは強さを表すものではなく、心体育道の技術を習得した度合いを表すものだと思っている。もちろんそこに強さが徐々に備わってくるのではあるが、黒帯になってからが本当の修行なのである。
他流派で段位を取って誠流武会に入門してきた道場生が、最初の審査で水色帯や黄帯となるのはごく当たり前のことである。ルールのもとでの強さをいくら誇ってみたところで、それは全く方法論が違う。そのため武道経験者のほうがかえって、入門してしばらくの間、心体育道の動きに体がついて行かず苦しむ場合が多い。
しかしそこは黒帯である。稽古を続けているうちに突然意識が変わり、こちらが驚くほど動きが良くなってくる場合がほとんである。もちろん中には何を思ったか、最初の審査でまったく動けなかった自分のことは棚に上げて、本来黒帯を他流派で持っている自分が低い位置の色帯になったことに嫌気をさしてやめていく者がいるが、それは少数である。
誠流武会の稽古はどの道場も稽古は週一回、もしくは週二回である。道場の稽古の数としてはさほど多くない。むしろ少ないと言っていい。ただ心体育道とは暴力や病気から身を守るための術、いわば生きるための技術である。道場稽古だけで身につくはずもない。
道場とは稽古の方法、強くなるための方法を教える場所であって、それを実践するのは日々の鍛練でしかない。
とはいえ道場の稽古に出て来ずに自主稽古だけに励んでいては本末転倒である。正しい指導を受けずに収得できるような技術は心体育道には無い。きちんと稽古に出てきている弟子たちの動きを見ていても、間違った方向に進んでいるのを見ることが多々ある。
そのため今回の昇級審査より、出席日数が五割を越えている者のみ受けることができるとした。週一回、年にすると約52回。とすると年に26回の稽古への参加が必要であるが、月にすると約2.2回となる。
たったそれだけの道場稽古で強くなれると思っている者がいたら大いなる勘違いである。