2010.06.21
話は前後するが、先々週の杖の撮影の前日、福岡の弟子、山本君の結婚パーティが開かれた。その席で新婦が私に「結婚できたのは心体育道に入門したからなんですよ」と、唐突に話し始めた。
心体育道は喫煙者は入門できない。山本君はそれを知らずに稽古見学に来て、稽古終了と同時に「入門させてください」とその場で入門誓約書に記入を始めた。だが、1年半ほど前のその当時、彼は喫煙者であった。記入をしている彼に喫煙者は入門できない旨を伝えると
「えっ」と驚いた表情を見せ、動きを止めたが、決意したように
「ええ機会や」
と独り言をつぶやき、記入を続けた。
「煙草をやめてから性格が変わったんですよ」と新婦は話を続けた。[この人、禁煙するまで、すごいいやな性格だったんですけど、禁煙してからすごく性格が良くなって…」
もともと知り合いだった二人は、結局は彼の禁煙がきっかけで付き合い始め、結婚に至った。確かにアルコールやニコチン、カフェインなど嗜好品に含まれる多くは刺激物でもある。しかし、煙草をやめて性格が変わったというのは初耳だった。まあ、よくよく考えてみれば、さもありなんと思うことでもあるが。
実は、まだ喫煙者だった当時の山本君を、私は見学前から知っていた。しかし新婦が言うような、いやな性格の持ち主ではなく、明るい、性格のいい男だと、私自身は感じていたことを、彼の名誉のために付け加えておく。