2011.12.31

時計の針

師走とはよく言ったもので、今年の12月は本当に走り回っていた。

その忙しい合間を縫っての各道場での忘年会はやはり楽しい時間である。仕事や学業で時間の取れにくい状況で、それぞれがいかに真剣に稽古に取り組もうとしているのかがよくわかる。そして、どうしたらもっと強くなれるのかといった悩みなども、酒が進むうちに多少の差こそあれ、ほぼ全員が吐露し始める。

幼いころ、時計の針が進むところを見たいと思い、じっと長針を見続けたことがある。

今のようにデジタルやクォーツではなく、ネジを巻いて動いていた我が家の掛け時計は、いくら目を凝らして見ていても全く動く気配など見せないが、気が付くと確実に位置を変えていた。

長針ですらその進み具合はわからないのに、短針ではなおさらである。ただ長針、短針とも確実に前へと進んでいる。

武術の上達とは時計の短針のようなものである。

一見同じ位置にい踏みとどまっているかのように見え、実は確実に前へと進んでいる。

自分の技の進歩にもどかしさを覚え、悩みながら日々の稽古を続けているうちに、気が付くと確実に上達している。

ただし、ネジを巻くのを怠ると止まってしまうことは忘れないように。