2011.11.04

「オス!!」

空手の世界では返事は「押忍(オス)」である。理由は諸説あるが、まあ本当のところはわからない。

応援団の世界も返事は「押忍」であるが、この理由はまったくもって見当もつかない。

芦原空手時代、芦原先生が上京すると、ラーメン屋、焼肉屋、中華料理屋、ラウンジバーなどなど、いろんなお店に連れて行っていただいた。

芦原先生は話上手なので、ずっと話をされている。その間、道場生の返事は「押忍」のみである。意見を求められても「押忍」と答えると、「そうだよなあ」と芦原先生には納得していただけた。

「押忍」ですべての感情も表現するのである。これを弟子たちの間では≪押忍の五段活用≫と呼んでいた。納得した場合や明快な返事の場合は大きな声で「オスッ!」。聞き取れない場合などは首を前に出しながら「オス?」。よくわからない場合や、知らない場合は小首をかしげながら小さな声で「オス……」などである。

ごくまれに弟子から、「“押忍”はどんなタイミングでいえばいいのですか?」などといった、まことにマニュアル世代そのものの質問をされる時がある。そんな時は「返事というものは相手が言葉を発したら必ず対応して戻すものだ」と答えるようにしている。もちろん稽古中においても同じ。指導者が言葉を発すれば必ず返事を返すのは、人として当然のことなのだが、今の時代はそこからまず教えなければいけないのである。